童話の森ギャラリー 夏の企画
「教科書にみるちひろの世界」展
2001.08.02〜08.29
黒姫童話館となり「童話の森ギャラリー」にて
《終了致しました》
「・・・・・・はじめて授業を参観してびっくりした。
教科書の絵がこんなにくりかえし、くりかえし、すみのすみまで観察され、
話し合われているとはおもわなかった。(中略)
・・・子どもが、その幼い頭に知恵をいったいふくらませて、
どんなに眺めまわしたってあきないで、
お話が山ほど出てくる絵。これをりっぱな芸術にたかめることだ。
ひよこをかくときは、やっぱりひよこの数や、形や、位置がたいせつで、
そこから夢が生まれてくるものでなければならない。
なんという難しいことだろう。
しかし、この世に子どもが絶えないかぎり、
教科書に子どもの絵が必要なかぎり、
この願いはいろいろの人たちによって高められ、
実行されていかねばならないだろう。
―――いわさきちひろ 1958年―――
いわさきちひろは、画家として仕事を始めて間もない1950年代前半から晩年の1970年代前半までに、小学校の教科書や副読本に多くの作品を残しています。その中には、地方の出版部であった信濃教育会出版部の仕事もみられますが、信州人を両親に持ち、ちひろ自身が幼い頃から親しんでいた信州への、特別な思いがあったのかもしれません。
この度の展覧会では、近年確認された信濃教育会の国語(1961年刊)の教科書の原画を始め、ちひろ美術館に収蔵されている教科書のための作品から、小学国語の仕事を中心に繊細なタッチで描かれた挿し絵「夕づる」(1966年)の原画や、ちひろの後期の瑞々しい水彩画の特徴と大胆なトリミングを試みた1970年代の表紙や扉の原画を、出版された教科書や資料とともに展示します。学習指導の目的からさまざまな制約をふまえて描くことが要求される教科書の仕事ですが、子どもたちにこそ本物の芸術を届けたいと心から願っていたちひろの、子どもたちへの真摯な思いを感じていただければ幸いです。
―――童話の森ギャラリー リーフレットより(全文)―――
「童話の森ギャラリー」へは、森のシンフォニーから徒歩10分です。
(黒姫高原牧場の環境を守るため、
自家用車の乗り入れは禁止されています。)